新品仕上げとは?
使用により時計に傷が付き傷取りに出したいけど、「新品仕上げ」って何をするの?「新品仕上げ」をするとどうきれいになるの?と不安に思っているお客様も多数いらっしゃると思います。
今回はお客様が通常見ることができない新品仕上げの工程や、仕上げに使用する道具をご紹介いたします。
鏡面仕上げに使用する道具
鏡面部分の仕上げにはバフ(羽布)研磨を行います。研磨といっても削り取るのではなく、磨き込んでつやを出す作業を行います。
使用する道具はバフと呼ばれる柔らかい布やフェルトでできたホイール状の研磨製品とアルミナやクロム等をベースにした研磨剤です。
鏡面仕上げの工程
磨き作業は、モーターに取り付け回転したバフに研磨剤を軽く当てて溶かし、磨き面に練り込むようにして行います。WATCH COMPANYでは主に1.荒磨き、2.中磨き、3.仕上げ磨きの3工程で行います。
ロレックスのバックルサイド(鏡面部分)を磨いていきます。
フェルトバフ(A番)に白棒4000番を付け荒磨きを行います。
時計の形状を保ちつつ、傷を取ることのバランスを考えながら行います。光の当たる角度を変え、傷残りが無いかしっかりと確認を行います。
荒磨きだけでもほとんどの傷が除去できています。拡大するとバフ目(縦線状の跡)が付いているのがわかります。
青バラバフにD-24を付け中磨きを行います。
荒磨き時のバフ目や、研磨剤残りを無くし、最終仕上げにつなげることを意識して行います。
バフ目がほとんど目立たなくなりました。
布バフ(トクハネバフ)にD-24(青)とノンクロン(黄)少量を付け仕上磨きを行います。
バフ目が残っていないか、角度を変え、確認しながら行います。鏡面部分に研磨剤残りが無いか確認します。(洗浄後にくもりの原因となるため)
完全に傷を除去することができました。
基本的には、上記の道具を使用しますが、磨く時計の素材や形状によって、さらに柔らかい布バフや固いフェルトバフ、径や形を加工したバフ、様々な研磨剤を使い分けます。
また、いずれの工程においてもバフを当てる際の強さや角度、回転数、研磨剤の量等、磨く時計の状態に合わせ最適なものになるように対応しております。
新品仕上げのススメ
お客様からお預かりしたお時計の傷取りをご依頼いただいた際は、1本1本全てのお時計に対し丁寧にこういった作業を繰り返し磨き上げております。お時計の傷が気になる場合はオーバーホールと合わせて新品仕上げのご依頼をいただけましたら幸いです。