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時計修理技術者コラムVol.25 外装の素材について

時計修理技術者コラムVol.25 外装の素材について

時計ケースの素材

時計の外装、特にケースに必要な機能は、ムーブメントを外的環境から保護する(耐食性、耐傷性、防水性)ですが、さらに商品としての魅力を演出する装飾性という要素も加わっています。
18世紀の時計産業は、マリンクロノメーター(海洋精密時計:船舶上で使う目的で作られ、揺れる船上でも正確な精度を刻むことができる時計)の開発と、王侯貴族のための高級時計の制作が中心でした。貴族にとって高級時計の所持は大きなステイタスだったため、金やプラチナ、銀などの貴金属が多く用いられてきました。
その後19世紀になるとスイスの時計産業は、より大きな市場獲得をめざしイギリスや欧州大陸全体の大衆消費者のニーズを研究するようになります。その結果、安価な時計が大量に生産されるようになり、時計の使用領域も大きく広がりケースの素材も多様化することになります。
今回は時計ケースの素材に使用されている金属に関して紹介していきます。

ステンレススチール

ステンレス

ロレックス/サブマリーナ/114060
ステンレススチールとは、STAIN(汚れ・さび)LESS(無し)という、その名の通り、汚れやさびに強い金属です。鉄(Fe)の含有量が50%以上で、クロム(Cr)を10.5%以上含む合金で、使用されている時計本数が最も多い素材です。
※ステンレススチールに関しては時計修理技術者コラムVol.2を参照。

貴金属

貴金属(Precious Metal)とは、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ=白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の8つの元素を指します。希少な金属で、耐食性を有するのが特徴です。時計のケースとしては金、銀、プラチナが使用されます。※一部メッキにロジウムが使用されることがあります。
純度はK(Karat)で表記されます。純金とは純度が99.99%以上の物を指し、24Kと表されます。数字が減ることで純度が落ち、別の金属が混ぜられます。時計を含むアクセサリー類には18Kが使われることが多く、その理由としては24Kは柔らかく傷つきやすいため、強度を増すことで実用的にしているのです。
混合する元素の配合量によって色味が変わるため、金に関しては色彩を使い分けて使用されています。

イエローゴールド

18Kイエローゴールド
ロレックス/ヨットマスター/16628
純金75%、純銀15%、純銅10%の割合で合金化したもの。

ピンクゴールド

18Kピンクゴールド
ロレックス/デイトジャスト/179175
純金75%、純銀10%、純銅15%の割合で合金化したもの。ローズゴールドと呼ばれることもある。

ホワイトゴールド

18Kホワイトゴールド
ロレックス/デイデイトⅡ/218239
純金75%、純銀もしくはパラジウム、ニッケルなどを25%の割合で合金化したもの。ホワイトゴールドという名称ですが、白金=プラチナとは別の金属、プラチナの代替品としてホワイトゴールドが開発されました。

K18YGK18WG

貴金属はそのものの純度の刻印を入れることが一般的で、1,000分率の刻印がされていることが多いです。18Kであれば、75%純金のため、750と刻印されます。プラチナなどは純度に応じてPt950(95%プラチナの意)などで表記されます。

チタン

ルミノールマリーナチタニウム

(前)パネライ/ルミノールマリーナ/PAM00177
(後)ブルガリ/チタニウム/TI38TA
チタン=チタニウム(Ti)とは、元素番号22の元素。ステンレスに比べ約45%軽く、プラチナや金と同等程度の強い耐食性を持っています。(汗や海水による腐食に非常に強く、さびにくい。)また、金属アレルギーを引き起こさない(人体適合性があり、イオン化したニッケルやクロムなどが皮膚に浸透して引き起こす金属アレルギーが起こりにくい)という特徴があり、時計のケースに非常に適しています。
時計ケースに使用されるようになった1970年代には加工しにくく調達コストが高い(ステンレスの約10倍)という課題がありましたが、技術開発により克服し1980年代以降は新素材として脚光を浴びるようになりました。

超硬質素材

仕上

シャネル/J12/H2126
審美性が追及されるため、鏡面仕上げを施すことが多いケースは傷がつくと目立ちやすいという問題を抱えています。これまで挙げた素材でも合金化組成を工夫したり、表面処理技術を開発して強度や固さを増しているとはいえ、長期間の使用では傷がつくことは避けられません。そこで、対摩傷性の良さを生かせる素材として【超硬合金】や【セラミック】があります。欠点としては、強い表面光沢や色味が付くため、特定のデザインや用途に限られてしまうことが挙げられます。
※セラミックは磨くことができません。
※超硬合金は表面加工の種類によっては磨くことができない場合がございます。

素材に応じた研磨法

仕上

今回紹介した素材の特徴を理解していても、実際に研磨をする場合には様々な注意点があります。例えば、同じ18Kでも、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドでは硬さが微妙に異なります。さらには各ブランドや使用環境によっても一つ一つ違ってくるため、時計もそれぞれに合わせた磨き分けが必要になります。時計修理専門店WATCH COMPANYでは熟練の技術者があらゆる素材、ブランドのお時計も完璧に磨き上げます。時計の傷が気になるようになったらぜひ無料見積りをご利用ください!
新品仕上げ16,500円(税込)、オーバーホールとセットでお申し込みの場合は割引価格11,000円(税込)になります。

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